ギリシャ医学と歴史

ギリシャ医学

古代ギリシャ・古代ローマの医師にとって、マッサージは痛みを和らげる効果があると認められていました。

ギリシャ医学の歴史

古代ギリシャでは、医学は魔術的なものであり、宗教的な信仰が強く、オリンピア(運動競技)と占いから発達したといわれています。これは、古代エジプト文明や古代の中国と同様に、宗教や信仰との結びつきが大きかったといえます。

 

1.アポローン(アポロン)とスパ及び疫病治療

ゼウスの息子であり、ギリシア神話に登場する男神(オリュンポス十二神の一柱)であり、医術の神とされています。アポロン神殿では、蒸気が噴き出る場所とされ、古代ローマ帝国のテルマエ(バルネア )より以前に、すでに温泉(スパ)療法が行われていました。このアポローンは、疫病などの病を払う治療神であるので、現在のコロナウィルスを、退治してほしいものです。

アポローン(男神)とアポローン神殿(温泉浴場スパ)

アポローン(男神)とアポローン神殿(温泉浴場スパ)

アポローンは、ケイローンに、音楽、医学、予言の技を伝えたとされています。

2.名医アスクレーピオス(アスクレピオス)の病理学理論と一大治療施設

アスクレーピオス(アスクレピオス)は、アポローンの息子であり、ケイローンから医学を学び杖を伝授とされたとしています。アスクレーピオスは、体液の流れが滞った状態が病気であると病理的解釈を説き、体液循環の改善のためにマッサージが有効であると提唱しています。

アスクレーピオスは、医療と健康を司る名医として、現在も医学の象徴的存在であり、WHO(世界保健機関)のマークや現在の様々な医学界のマークである蛇の杖はアスクレーピオスの杖が由来となっています。

また、アスクレーピオスは、医神として、古代エジプトのイムホテプ(ピラミッド建築家、内科医)と同一視とされています。

アスクレーピオスの理論を基にした病院(治療施設)は、野外施設である劇場や競技場などの中心施設に作られ、アスクラピア(治療施設)と呼ばれていました。アスクラピアの周囲には、博物施設、美術施設などもあり、アスクラピアは、現在の温泉観光地のような、一大の癒やし施設(スピリチュアル、ヒーリング施設)でした。

特に、アスクレーピオスの出生地エピダウロスは、現在でも、医学の聖地としてパワースポットとしての観光地ともなっています。また、古代ギリシャ以降、アスクレーピオス信仰が生まれ、同様な神殿が各地に建築され、人々のアスクラピア(治療施設)及びスピリチュアル・ヒーリング施設として発展しました。

アスクレピオス像の杖と医学シンボル及びエピダウロス遺跡とアスクレピオス神殿再現図

アスクレピオス像の杖と医学シンボル及びエピダウロス遺跡とアスクレピオス神殿再現図

3.古代ギリシャ医学のマッサージとアロマテラピー

アスクラピアでは、アスクレーピオス信仰により、滞在すると病気が治るとされ、マッサージの治療も行われていました。

医学神アスクレピオスのマッサージ治療

医学神アスクレピオスのマッサージ治療

 

アスクラピアで行われる治療には、今でいうアロマテラピー(アロマオイル)のように、香料(乳香、ローズ、マジョラム、サフランなど)を用い、痛みを緩和しながらマッサージ治療を行っていたという記録があります。

乳香は、古代エジプトから伝わり、周囲を香りで満たす役割のほかに、解毒剤のような薬としても用いられていました。

マジョラム(シソ科の多年草)は、古代ギリシャ・ローマでは幸せを象徴するハーブとしての意味のほかに、筋肉痛はもとより、不眠、沈静、抗不安、制淫の目的でも利用されています。

サフランは、その鮮やかな黄色のため、王族だけが使うことを許される色として、利用されていました。

また、古代ギリシアでは、香料は、香膏(練り香水)・未病としても人体や愛する動物などに塗る習慣ができました。

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